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賃貸物件の退去費用を抑える!トラブルを防ぐチェックリスト

賃貸物件の退去費用を抑える!トラブルを防ぐチェックリスト

賃貸物件の退去は、新生活への期待感とともに、意外な出費への不安がつきまとうものです。特に、敷金が戻ってこない、高額な原状回復費用を請求されたといったトラブルは後を絶ちません。しかし、適切な知識と準備があれば、これらの費用を最小限に抑え、スムーズな退去を実現することが可能です。

本記事では、賃貸物件の退去に際して知っておくべき費用やトラブルの事例、そしてそれらを未然に防ぎ、費用を抑えるための具体的なチェックリストを詳しく解説します。不動産会社のプロの視点から、賃貸契約書の見方から日頃のメンテナンス、そして退去時の立ち会いのポイントまで、網羅的にご紹介します。

1. 退去費用を理解する:なぜ費用が発生するのか

賃貸物件の退去費用と聞くと、漠然とした不安を感じる方も多いでしょう。しかし、費用が発生する理由を正しく理解することで、無駄な出費を抑える第一歩を踏み出すことができます。

1.1. 原状回復義務とは何か

賃貸借契約において、借主には「原状回復義務」が課せられます。これは、借りた部屋を退去する際に、入居時の状態に戻す義務のことです。ただし、この「原状回復」は、借りた当時の新品同様の状態に戻すことではありません。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。

つまり、通常の生活で生じる経年劣化や自然損耗については、貸主(大家さん)が負担すべき費用であり、借主が負担する必要はありません。例えば、壁紙の日焼けや家具の設置による床のへこみ、画鋲の穴などは、通常の使用による損耗とみなされることが多いです。

しかし、以下のような場合は借主の負担となります。

  • 故意による損傷: 壁に大きく穴を開けた、ペットが柱をかじったなど。
  • 過失による損傷: 引っ越し作業中に壁を傷つけた、不注意で水をこぼして床を腐らせたなど。
  • 善管注意義務違反: 適切な換気を怠りカビを発生させた、タバコのヤニで壁が変色したなど。

これらの違いを理解することが、不当な請求を防ぐ上で非常に重要です。

1.2. 敷金・礼金・更新料との関係性

賃貸契約時には、敷金や礼金を支払うのが一般的です。

  • 敷金: 借主が家賃を滞納したり、退去時に原状回復費用が発生したりした場合に備えて、貸主に預けておくお金です。退去時に原状回復費用や未払い家賃がなければ、全額返還されるのが原則です。
  • 礼金: 貸主に対して支払うお礼金であり、退去時に返還されることはありません。
  • 更新料: 契約を更新する際に支払う費用で、こちらも返還されることはありません。

退去費用と最も密接に関わるのが敷金です。もし原状回復費用が発生した場合、敷金から差し引かれることになります。敷金で足りない場合は、追加で費用を請求されることもあります。そのため、いかに原状回復費用を抑えるかが、敷金返還の鍵となります。

1.3. 具体的な退去費用の内訳

退去費用として請求される可能性のある項目には、以下のようなものがあります。

  • ハウスクリーニング費用: 専門業者による部屋全体の清掃費用です。契約書に特約として記載されている場合が多く、借主負担となるケースが一般的です。相場は広さによって異なりますが、ワンルームで2万円~4万円程度、ファミリータイプで5万円~10万円程度が目安です。
  • 原状回復費用: 借主の故意・過失による損耗箇所の修繕費用です。壁紙の張替え、フローリングの補修、設備の交換などが含まれます。費用は損傷の程度や範囲によって大きく変動します。
    • 壁紙の張替え: 一面あたり数万円~数十万円(損傷範囲による)
    • フローリングの補修: 傷の程度によるが、数万円~数十万円
    • 設備の交換: エアコン、給湯器などの故障や破損による交換。高額になる場合がある。
  • 鍵交換費用: 防犯上の理由から、前の入居者が退去した後に鍵を交換することが一般的です。契約書に借主負担の特約がある場合が多いです。1.5万円~2.5万円程度が目安です。
  • ゴミの処分費用: 退去時に残された残置物(粗大ごみなど)の処分費用です。これは借主の責任であり、自分で処分するのが原則です。残置物を置いていくと、高額な処分費用を請求される可能性があります。
  • エアコンクリーニング費用: 契約書に特約がある場合、借主負担となることがあります。通常は貸主負担ですが、エアコン内部の汚れがひどい場合などは、借主の過失とみなされることもあります。

これらの費用項目を事前に把握し、何が自分自身の負担になるのかを明確にすることが、退去費用を抑えるための第一歩です。

2. トラブル事例から学ぶ!よくあるトラブルとその対策

退去時に発生するトラブルは多岐にわたりますが、共通して言えるのは「知識不足」と「準備不足」が原因となることが多いということです。ここでは、よくあるトラブル事例とその対策について解説します。

2.1. 不当な原状回復費用の請求

最も多いトラブルの一つが、不当な原状回復費用の請求です。

事例1:経年劣化にもかかわらず壁紙の全額請求

「壁紙の日焼けや画鋲の穴が原因で、壁紙の全面張替え費用を請求された。しかし、数年住んでいたため、経年劣化も含まれるはずだ。」

対策:

  • 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の知識を持つ: 国土交通省のガイドラインでは、経年劣化や通常損耗は貸主負担と明記されています。これを根拠に交渉しましょう。
  • 損傷箇所の写真を撮る: 入居時と退去時の両方で、部屋の状態を詳細に記録しておくことが重要です。特に、退去時の損傷箇所は様々な角度から撮影し、日付を記録しておきましょう。
  • 交渉する: 不当な請求だと感じたら、まずは書面で異議を申し立てましょう。ガイドラインに基づいた説明を求め、具体的な費用算出根拠の提示を要求します。
  • 消費者生活センターや弁護士に相談: どうしても解決しない場合は、専門機関に相談することも検討しましょう。

事例2:入居前からあった傷の請求

「入居前からあった床の傷について、退去時に修繕費用を請求された。入居時に確認しなかったのが悪かったのか。」

対策:

  • 入居時の状態を徹底的に記録する: 契約書の「物件状況等確認書」に漏れなく記載し、必ず写真や動画で記録を残しましょう。もし傷や汚れがあれば、細部まで撮影し、貸主または管理会社に報告書として提出し、確認してもらいましょう。これが最も重要な証拠となります。
  • 指摘があればすぐに連絡: 入居後に気づいた傷や汚れがあれば、すぐに管理会社に連絡し、記録に残してもらいましょう。

2.2. ハウスクリーニング費用のトラブル

ハウスクリーニング費用もトラブルになりやすい項目です。

事例1:高額なハウスクリーニング費用の請求

「契約書にハウスクリーニング費用負担の特約があったが、相場よりもかなり高額な費用を請求された。」

対策:

  • 契約書の特約を確認する: ハウスクリーニング費用が借主負担となる場合、その旨が契約書に明記されているか確認しましょう。特約がなければ、原則として貸主負担となります。
  • 相場を把握する: 事前にインターネットなどで、部屋の広さに応じたハウスクリーニングの相場を調べておきましょう。明らかに高すぎる場合は、根拠を求め交渉しましょう。
  • 自分でクリーニングする: 特約がある場合でも、自分でできる範囲で徹底的に清掃することで、クリーニング業者の作業量を減らし、費用を抑えられる可能性があります。ただし、プロの清掃が必要な箇所(エアコン内部など)は、無理に行わない方が良いでしょう。

2.3. 鍵交換費用や残置物処理費用のトラブル

事例1:入居者負担ではないはずの鍵交換費用を請求

「入居時に鍵は交換されていたのに、退去時にも鍵交換費用を請求された。」

対策:

*鍵交換費用は、原則として貸主負担ですが、契約書に「借主負担」の特約がある場合は借主負担となります。入居時に鍵が交換されていれば、退去時に再度請求されることは通常ありません。

対策:

  • 契約書で鍵交換費用の特約を確認する: 契約書に鍵交換費用に関する特約が記載されているかを確認しましょう。
  • 入居時の鍵交換の有無を確認する: 入居時に鍵が交換されたかどうか、不動産会社や大家さんに確認しておきましょう。記録があれば、それを提示して交渉します。

事例2:退去時の残置物処分費用を請求

「引っ越しで出たゴミをすべて処分しきれず、一部残して退去したら、高額な処分費用を請求された。」

対策:

  • 計画的にゴミを処分する: 退去日までに、粗大ごみや不用品は計画的に処分しましょう。自治体の回収サービスや不用品回収業者を利用するなど、早めに手配することが重要です。
  • 清掃を徹底する: 部屋の中にゴミを残さないよう、清掃を徹底しましょう。

3.退去費用を抑えるためのチェックリスト:入居前から退去後まで

退去費用を抑えるためには、入居時から計画的に行動し、適切な準備を行うことが重要です。ここでは、具体的なチェックリストに沿って解説します。

3.1. 入居時のチェックリスト:トラブルを未然に防ぐ

退去時のトラブルの多くは、入居時の確認不足に起因します。

  • 賃貸借契約書を熟読する:
    • 原状回復義務の範囲: どこまでが借主負担になるのか、具体的に確認しましょう。
    • 特約事項: ハウスクリーニング費用、鍵交換費用、エアコンクリーニング費用など、借主負担となる特約がないか細かくチェックします。不明な点は、必ず不動産会社に確認しましょう。
    • 敷金の返還条件: どのような場合に敷金が返還されるのか、また、どのような場合に差し引かれるのかを把握しておきます。
  • 「物件状況等確認書」を徹底的に記入する:
    • 入居時に備え付けられているこの書類は、部屋の傷や汚れ、設備の不具合などを記録するための重要な書類です。
    • 具体的な記録: 壁、床、天井、窓、ドア、水回り(キッチン、浴室、トイレ、洗面台)、エアコン、給湯器など、部屋のあらゆる箇所を細かくチェックし、入居前からあった傷、汚れ、へこみ、破損、変色などをすべて記入しましょう。
    • 写真・動画での記録: 書類だけでなく、必ず写真や動画で記録を残しましょう。日付が記録されるデジタルカメラやスマートフォンのカメラ機能を利用し、明るい場所で鮮明に撮影します。広範囲だけでなく、気になる箇所のアップも撮っておきましょう。
    • 貸主・管理会社との共有: 記入した「物件状況等確認書」と撮影した写真・動画を貸主または管理会社に提出し、内容を確認してもらい、控えをもらっておきましょう。これにより、入居前からあった傷について退去時に請求されるリスクを大幅に減らすことができます。

具体的な例:

  • 入居時、リビングの壁に小さな画鋲の穴が数カ所あった。→ 物件状況等確認書に「リビング壁面に画鋲穴数カ所あり」と記載し、写真を撮影。
  • キッチンのシンクに小さなサビが確認できた。→ 物件状況等確認書に「キッチンシンクにサビあり」と記載し、写真を撮影。
  • 浴室の鏡に水垢がこびりついていた。→ 物件状況等確認書に「浴室鏡に水垢あり」と記載し、写真を撮影。

3.2. 入居中のチェックリスト:日頃のケアが費用を抑える

日頃からの適切なケアが、退去時の原状回復費用を抑える上で非常に重要です。

  • こまめな清掃と換気:
    • カビ対策: 浴室、洗面所、結露しやすい窓際などは、カビが発生しやすい場所です。こまめに換気を行い、使用後は水滴を拭き取るなどして、カビの発生を防ぎましょう。カビは善管注意義務違反とみなされ、借主負担となる可能性が高いです。
    • 油汚れ・水垢対策: キッチン周りの油汚れや、水回りの水垢は放置すると落ちにくくなります。日常的に清掃し、汚れが定着するのを防ぎましょう。
  • 結露対策: 冬場の結露はカビの原因となるだけでなく、壁や床のシミにもつながります。定期的な換気や除湿器の使用で結露を防止しましょう。
  • 設備の丁寧な使用:
    • エアコン、給湯器などの設備は、取扱説明書をよく読み、正しく使用しましょう。故意や過失による故障は、借主負担となります。
    • 例えば、フィルターの清掃を怠ってエアコンが故障した場合、善管注意義務違反とみなされる可能性があります。定期的なフィルター清掃は忘れずに行いましょう。
  • 壁や床への配慮:
    • 家具の設置: 重い家具を置く際は、床の保護のためにカーペットやフェルトなどを敷きましょう。これにより、床のへこみや傷を防ぐことができます。
    • 画鋲や釘の使用: 壁にポスターなどを貼る際は、目立たない場所に画鋲を使うか、穴を開けずに貼れるテープなどを利用しましょう。大きな穴や多数の穴は、原状回復費用を請求される可能性があります。
    • タバコのヤニ: 喫煙される方は、壁紙の変色や臭いが付着しやすいので、換気を徹底するか、ベランダなどで喫煙するなど、配慮が必要です。ヤニによる変色は、借主の善管注意義務違反とみなされることが多いです。
  • 不具合・異常の早期報告:
    • 水漏れ、設備の故障、建物の破損など、部屋に何らかの不具合や異常を発見したら、すぐに貸主または管理会社に連絡しましょう。放置することで被害が拡大し、借主の責任が重くなる場合があります。
    • 例えば、水漏れを放置したことで床が腐食した場合、水漏れ自体の原因は貸主負担でも、腐食部分の修繕費用は借主負担となる可能性があります。

具体的な例:

  • 浴室の換気を毎日30分行う。
  • 週に一度、キッチン周りの油汚れを拭き取る。
  • エアコンのフィルターを月に一度清掃する。
  • テレビ台の下に傷防止のフェルトを貼る。

3.3. 退去時のチェックリスト:最終確認で安心を

退去間際の最終チェックは、費用を抑え、トラブルを回避するための最後の砦です。

  • 退去通知は早めに:
    • 賃貸契約書に定められた期間(通常は1ヶ月~2ヶ月前)までに、書面で退去の意思を伝えましょう。これを怠ると、余分な家賃を請求される可能性があります。
  • 不用品の処分:
    • 退去日までに、部屋に残置物がないように全ての不用品を処分しましょう。粗大ごみは回収までに時間がかかるため、計画的に進めることが重要です。
    • 粗大ごみ回収の予約、リサイクルショップへの売却、フリマアプリの活用などを検討しましょう。
  • 徹底的な清掃:
    • ハウスクリーニング費用を抑えるためにも、できる範囲で徹底的に清掃しましょう。特に、キッチン、浴室、トイレなどの水回りは重点的に行います。
    • 壁や床の汚れ、窓や網戸の汚れ、照明器具のホコリなども忘れずに清掃します。
    • エアコンのフィルター清掃も忘れずに行いましょう。
  • 損傷箇所の最終確認と記録:
    • 入居時に撮影した写真や「物件状況等確認書」と照らし合わせながら、退去時の部屋の状態を最終確認しましょう。
    • 新たにできた傷や汚れがあれば、それが経年劣化なのか、自分の過失によるものなのかを判断します。
    • 自分の過失による損傷箇所は、正直に申告することも重要です。隠蔽しようとすると、かえって信頼を失い、交渉が不利になる可能性があります。
    • 退去時の写真・動画撮影: 退去の直前に、再度、部屋全体の写真や動画を撮影しましょう。特に、清掃後のきれいな状態や、自分の過失でないと思われる損傷箇所は入念に記録しておきます。これが、退去立ち会い時の証拠となります。
  • 立ち会い時のポイント:
    • 必ず立ち会う: 退去立ち会いには、必ず本人が立ち会いましょう。これにより、貸主または管理会社による一方的な損傷箇所の指摘を防ぐことができます。
    • 入居時の記録と比較: 入居時に作成した「物件状況等確認書」と写真や動画を見ながら、貸主または管理会社の担当者と一緒に損傷箇所を確認しましょう。

不明瞭な点は質問する: 請求内容や費用算出の根拠について、不明瞭な点があれば遠慮なく質問し、納得できるまで説明を求めましょう。

不当な請求は拒否する: 経年劣化や通常損耗と判断されるものに対して、原状回復費用を請求された場合は、国土交通省のガイドラインを根拠に毅然とした態度で拒否しましょう。その場でサインを求められても、内容に納得できない場合はサインを拒否してください。

具体的な例:

  • 契約書に記載された退去通知期限の2ヶ月前に不動産会社に連絡。
  • 引っ越しに合わせて不用品回収業者に粗大ごみの引き取りを依頼。
  • 退去の3日前に、水回りから壁まで徹底的に清掃。
  • 立ち会い時、入居時の写真とガイドラインの条文を提示しながら交渉。

4.退去費用に関するQ&A:よくある疑問を解消

退去費用について、入居者からよく寄せられる疑問とその回答をご紹介します。

4.1. どこまでが借主負担になるの?具体的な線引きは?

最も多い質問の一つが、「どこまでが借主負担になるのか」という線引きです。原則として、「故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」が借主負担となります。

具体例:

  • 借主負担となる可能性が高いもの:
    • タバコのヤニによる壁紙の広範囲な変色や臭い
    • ペットによる柱や壁の傷、臭い
    • 不注意で飲み物をこぼし、放置したことによるフローリングのシミや腐食
    • 重いものを落として床にできた大きなへこみや亀裂
    • 釘やネジの穴で、下地ボードまで達するような大きな穴(複数箇所も含む)
    • 結露を放置したことによる窓枠や壁の広範囲なカビ
    • 借主が設置した棚の取り外しによる壁の破損
  • 貸主負担(経年劣化・通常損耗)となる可能性が高いもの:
    • 日常生活で自然に発生する壁紙の日焼けや色あせ
    • 家具の設置による床やカーペットの軽微なへこみ
    • 画鋲やピンの穴(通常の使用範囲内の数)
    • テレビや冷蔵庫裏の壁の電気焼け
    • 鍵の劣化による抜き差し時の不具合(鍵交換費用は契約特約による)
    • エアコンや給湯器など、設備の自然故障や寿命

重要なのは、「通常の使用」の範囲を超えるかどうかです。判断に迷う場合は、国土交通省のガイドラインを参照したり、消費者生活センターなどの専門機関に相談したりすることをおすすめします。

4.2. 敷金は全額返還される?

敷金は、原則として、未払い家賃や借主負担の原状回復費用がなければ全額返還されるものです。しかし、実際にはハウスクリーニング費用などが差し引かれるケースが多く見られます。

全額返還を目指すには、以下の点が重要です。

  • 契約書を徹底的に確認する: 敷金から差し引かれる項目が明記されているか確認します。特に「ハウスクリーニング費用は敷金から差し引く」などの特約があれば、その費用は敷金から引かれることを理解しておきましょう。
  • 日頃からの丁寧な使用と清掃: 原状回復費用を発生させないことが、敷金返還への一番の近道です。
  • 退去時の立ち会いを丁寧に行う: 不当な請求がないか、入念にチェックし、納得できない費用は支払いを拒否しましょう。
  • 交渉する: 請求内容に疑問があれば、まずは書面で貸主または管理会社に問い合わせ、費用の根拠を明確にするよう求めましょう。

4.3. 退去費用が高額だと感じたらどうすればいい?

請求された退去費用が高額だと感じた場合、諦める必要はありません。以下の手順で対処しましょう。

  1. 請求内容の内訳を確認する: どの項目にいくら請求されているのか、詳細な内訳書を求めましょう。
  2. 費用の根拠を問う: 各費用の算出根拠(見積書、修繕箇所の写真など)の提示を求めましょう。特に原状回復費用については、借主負担となる理由(故意・過失、善管注意義務違反など)を明確にしてもらいましょう。
  3. 国土交通省のガイドラインを提示する: 経年劣化や通常損耗に当たるにもかかわらず請求された場合は、ガイドラインの該当箇所を提示し、異議を申し立てましょう。
  4. 交渉する: 電話や書面で交渉を試みましょう。感情的にならず、論理的に自分の主張を伝えます。
  5. 消費者生活センターに相談する: 交渉で解決しない場合は、地域の消費者生活センターに相談しましょう。専門の相談員がアドバイスやあっせんを行ってくれます。
  6. 少額訴訟や弁護士への相談: 費用が高額で、かつ不当性が明らかであるにもかかわらず解決しない場合は、少額訴訟制度の利用や弁護士への相談も検討しましょう。ただし、弁護士費用が発生するため、費用対効果を慎重に検討する必要があります。

4.4. 賃貸契約書を紛失した場合はどうすればいい?

賃貸契約書は、退去時のトラブル解決において最も重要な書類の一つです。紛失してしまった場合は、以下の対応を取りましょう。

  • 不動産会社または管理会社に連絡する: まずは契約した不動産会社や管理会社に連絡し、契約書の再発行が可能か、または契約内容の確認を依頼しましょう。多くの場合、控えを保管しています。
  • 重要事項説明書を確認する: 契約書ほど詳細ではありませんが、重要事項説明書には契約の基本的な内容が記載されています。
  • 過去のやり取りを確認する: 家賃の振込履歴や、入居時のやり取りのメールなど、契約内容を証明する手掛かりがないか確認しましょう。

契約書がないと交渉が不利になる可能性もあるため、紛失に気づいたら早めに対応することが重要です。

5. まとめ:賢い退去で新生活をスムーズに

賃貸物件の退去は、多かれ少なかれ費用が発生するものです。しかし、本記事で解説したチェックリストと知識を身につけることで、不必要な出費を抑え、トラブルを未然に防ぐことが可能です。

最も重要なのは、「入居時からの準備」と「情報収集」です。入居時に部屋の状況を徹底的に記録し、日頃から丁寧に住み、退去時には契約書やガイドラインの知識を武器に臨むことで、納得のいく形で退去を完了させることができるでしょう。

新生活を気持ち良くスタートするためにも、ぜひこのチェックリストを活用し、賢い退去を実現してください。私たちは、皆様の賃貸ライフがより快適で安心なものとなるよう、これからも情報提供を続けてまいります。何かご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

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