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UA値とC値 後悔しない家づくりの合言葉|イエノワ#8

埼玉県熊谷市内で注文住宅の設計・建築を手掛けるコスモ建設株式会社の社長、長沼俊一さんのお誘いで、同社主催の「後悔しない住宅購入のための基礎知識講座」に出席しました。

まさに「不動産リテラシー」と呼ぶにふさわしい、有益な内容ばかりでした。本号では、セミナーで得た情報と学びを共有します。

特に今回お伝えしたいのは、「UA値とC値」についてです。これを理解することで、健康に良い住まいを選ぶための知識が深まります。健康と経済的合理性を兼ね備えた家を、いつか手に入れていただきたいと思います。それがウェルビーイングにつながると信じています。

ZEHという夢物語と消費者負担

これから家づくりをしようと考えているお客様は、建てようとするその家を、必ず省エネ仕様にしなければなりません。

国は、2050年の脱炭素社会の実現に向けて、2025年度から全ての新築住宅に対し「省エネ基準」への適合を義務付ける予定です。(注1)さらにその5年後の2030年度からは、新築住宅では「ZEH水準」の確保を目指すことが必要とされています。

ZEHとは、「net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略語ですが、はっきり言って「ゼロ」というのは言い過ぎで、そもそもあり得ないわけです。更に建設費がとても高く、某大手ハウスメーカーS社の試算では標準的な一戸建ての建築費だけで4,000万円という驚きの数字です。将来の光熱費を、この建築費の中で前払いしているようなものです。「ZEHに魅力はない」と断言して良いと考えています。

この省エネ住宅義務化については、国だけでなく、東京都も独自ルールを定めようとしています。都は、2025年4月から新築住宅等への太陽光発電設備の設置を義務化し、さらに断熱・省エネ性能の確保等も義務付ける制度を創設します。(注2)しかし、大手ハウスメーカー等が供給する新築住宅等を対象に義務付けられるということで、既存の住宅は対象外とのことです。全国で最も「大手ハウスメーカー」がひしめき合っている都内では、ほとんどの新築住宅に「ソーラーパネルをつけて断熱仕様にしなさい」と言っているようなものです。現段階では東京都のみの政策ですが、今後、関東など主要都市、つまり私たちの暮らす街でも同様の政策が拡がってくる可能性があります。

現実から乖離する政府の透けて見える本音

これらの政策が進んだ先を想像できますか。それは「電気代が2倍、3倍になる」という未来が予測できます。それだけの根拠や背景が積上がってきているのです。

政策当局による省エネ住宅の義務化が進むと、理論上、国内ほとんどの住宅が省エネ仕様になります。これは歓迎すべきことですが、「みんなが省エネ住宅を手に入れた。これでようやく、今まで抑えていた分の電気代の徴収(回収)をはじめられる。省エネ住宅に住んでいる人からは、さほど文句も出ないだろう」という筋書きが、政府の本音なのです。

じゃあどうする

平均寿命は15年と言われる太陽光発電のためのソーラーパネルが限界を迎えるころのタイミングで、電気代が値上げされるかもしれないという未来予想図は、恐怖でしかありません。

これからマイホームを手にしたいと考える皆さんは、どのようにしたら良いのか。その答えは「燃費の良い住宅を、適正な予算で建てること」です。

燃費の良い住宅とは、高断熱・高気密の家です。本誌では何度も言及していて、耳障りなくらいかもしれませんが、何度でも言います。断熱・気密は最重要課題です。燃費の良い住宅は、健康とお金を守ってくれます。

適正な予算とは、ZEH以外の選択肢を含め検討・判断ができているかがポイントです。ZEHのように最先端(高価格)の設備をふんだんに盛り込まずとも燃費の良い住宅を建てることは可能です。構造的にも、木造で燃費の良い住宅がしっかり作れます。むしろ木造の方が高気密で、鉄骨の方が隙間の多い家になる場合があります。某大手鉄骨系ハウスメーカーでZEHを建てる(建物だけで4,000万円以上)ことにメリットが薄いのは明らかです。木造で燃費の良い住宅を建てれば、2,500万円位で済みます。

燃費の良い住宅を適正な予算で建てることで、国の住宅政策やエネルギー政策に振り回されない快適な生活と経済的合理性の両方を手に入れることができるのです。

UA値とC値からわかる家の性能

だからこそ、私たちは燃費の良い住宅かどうかを判断する上で重要な指標として「UA値とC値」を知っておくべきです。

UA値からは断熱性能がわかります。住宅の保温性能を示す目安で、「熱の逃げにくさ」を表し、0(ゼロ)に近いほど優秀です。UA値は計算値、すなわちシミュレーション上の数値であり、実測値ではありません。施工の質が重要なので、良い工務店・大工さんと出会うことがとても大切になります。

C値からは気密性能がわかります。断熱ではなく、気密。すき間の少なさを示す数値で、実測値になります。シミュレーション上の数値ではなく、その住宅の気密性能のリアルを示す数値です。

C値を良くした上で、UA値にもこだわった施工により建てられた家が、燃費の良い住宅になります。一年中安定した室温を保ち、光熱費を抑えることができます。さらに、ソーラー発電や蓄電池が不要で、初期費用も抑えられるため、経済的です。

家づくりの合言葉

ZEHやソーラー発電の話をする前に、高断熱と高気密=UA値とC値の話をしっかり突き詰めましょう。今後、ハウスメーカーに相談に行かれるときは、その担当者に「貴社の建物のUA値とC値はどのくらいですか?」と聞いてみてください。即答できないハウスメーカーに依頼するのは危険かもしれません。(サカイ)

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